広場・ヤマギシズム

ヤマギシズム運動、山岸巳代蔵、実顕地、ヤマギシ会などに関連した広場

2020-01-01から1年間の記事一覧

◎集団の限界性と個人のあり方(鶴見俊輔の論考などから)

〇ヤマギシに限らないが、思想的な集団における個人のあり方や、総意の形成について『山岸巳代蔵伝』に記録したことがある。【ある種の思想的な集団にとって、組織の活動の広がりにともない、一人ひとりの自由意志力による総和というよりも、管理維持的な要…

◎〈対話〉と〈けんさん〉②(鶴見俊輔の「特講」体験などから)

〇私が所属していたコミュニティはヤマギシズム運動の実顕地のことで、実顕地特有の課題もあるだろうし、理想や理念を掲げた組織、コミュニティ共通の陥りやすい問題もあるだろう。 このコミュニティの特色として、すべてのことを「けんさん」及び「けんさん…

◎〈対話〉と〈けんさん〉➀((平田オリザ、中島義道の「対話」論から)

〇最近〈対話〉に関する優れた著書の、平田オリザ著『対話のレッスンー日本人のためのコミュニケーション術』、中島義道著「対話のない社会 思いやりと優しさが圧殺するもの」に触れて、〈研鑽(会)〉のことを思いながら読んでいた。 両書とも、〈会話〉は〈…

◎ある元学園生のブログから

〇ブログ「広場・ヤマギシズム」ではヤマギシズム学園のことに度々触れている。 私は学園の運営などに直接関わっていなかったが、様々な部門で中心になって動いていた。その構造からさまざまな学園問題が生じたこともあり、当然私自身の課題になってくる。 …

◎調正機関に参画することについて

※今回は参画という角度から、実顕地のことをみていく。〇1958年の『百万羽』の設立から始まった参画者は、1961年4月に、参画者の本財(人)及び雑財を調正する機関としてヤマギシズム生活中央調正機関が発足し、その一員となる。 参画者の条件として…

◎「広場・ヤマギシズム」の役割。(村岡到『ユートピアの模索』に触れて)

〇2017年12月にブログ「広場・ヤマギシズム」を立ち上げた。 それは、ヤマギシのことを考えていける一つの広場と思っている。また、後の研究者などに繋げればいいかなと思っている。 戦後生まれたコミュニティー・共同体の規模、現在まで続いている継続年数…

◎「ひとつ」という見方。

〇先週、1976年実顕地本庁のもとに強力に一本化されるようになった後の、実顕地の変容について記録した。強力に一本化することの弊害について、別の角度から見ていく。 実顕地では、「何々一つ」の表現がよく使われていた。 〈財布一つ〉〈実顕地一つ〉…

◎「われ、ひとと共に繁栄せん」から「われ、実顕地と共に繁栄せん」へ

〇前のブログで次のように書いた。 〈1976年になって、中央試験場は春日山実顕地、北海道試験場は別海実顕地の名称になり、実顕地本庁のもとに一本化されるようになり、試験場機能は衰えていく。 これはヤマギシ会の歴史における、大きな転換点の一つで…

◎〈だれのものでもない〉(「金の要らない楽しい村」考⑤)

〇山岸巳代蔵の思想の根を簡潔に表現すれば次の数語になると私は考えている。 〝共存共生の世界〟 〝だれのものでもない〟 〝だれが用いてもよい〟 〝最も相合うお互いを生かし合う世界〟 これは1960・1・30の日付となっている『正解ヤマギシズム全輯』…

◎資料『金の要らない楽しい村』「総論」から(「金の要らない楽しい村」考④)

〇「金の要らない楽しい村」考②で紹介した「研究家・実行家に贈る言葉」に続いて「総論」がある。これは(未完)になっている。▼《「総論」 人間は考え過ぎる。 複雑に考え過ぎる。 二つの課題を同時に考える時に複雑になり、考えることはよいのであるが、考…

◎「ヤマギシズム生活実顕地」構想(「金の要らない楽しい村」考➂)

〇この論考は山岸巳代蔵の構想「金の要らない楽しい村」について様々な角度から見ていこうと思う。 各種の問題はあるが、一つの社会実験として見た場合、現ヤマギシズム実顕地の「無所有共用共活」の仕組み及びそれに付随する「終生生活保障」のシステムが、…

◎資料『金の要らない楽しい村』「研究家・実行家に贈る言葉」(「金の要らない楽しい村」考②)

〇金の要らない楽しい村《金の要らない楽しい村》は、一九六〇年五月に三重県津市において山岸巳代蔵によって口述され、中村美須枝と大江博が筆記したと伝えられている。 この資料は、〈山田村の実況〉と共に、ヤマギシズム生活実顕地をつくろうとする人達の…

◎「金の要らない楽しい村」について➀

〇《金の要らない楽しい村》は、一九六〇年五月に山岸巳代蔵によって口述されたものを起こした資料の題名である。この資料は、〈山田村の実況〉と共に、ヤマギシズム生活実顕地をつくろうとする人たちの研鑽資料として使用された。 これがヤマギシズム社会・…

◎「わくらばの記」-吉本隆明との対話から(2016-09-18)の再録。

※25日に掲載した【◎私のこと、このブログ「広場・ヤマギシズム」のこと。】に関連して4年前に書いた記事を再録する。 この記録は吉田光男さんの「わくらばの記―病床妄語」に触れて述べたもの。 1990年頃のヤマギシ学園は、推進メンバーたちが描く理想像か…

◎私のこと、ブログ「広場・ヤマギシズム」のこと。

〇5年前に始めたブログに、ヤマギシ関連のことを述べると、そういうお前は何なんだと言われることもある。 これまでも断片的に触れているが、簡単に私の来し方、主にヤマギシとの関わりを振り返る。といっても記録を残していなくて、曖昧な記憶を頼りにして…

◎(付)「息子の時間」を読んで。(福井著『「金要らぬ村」を出る…』より)

※本書は「手記」のようだと考えるし、著者は誠実に書いていると思うが、誠実であろうとなかろうと、実際にあったこととはずれてくる。少なからずフィクショナルな要素も入ってくるかもしれない。 ここでは、あくまで作品に描かれたことに即して見ていこうと…

◎ある夫婦の物語。(福井著『「金要らぬ村」を出る…』より)

〇本書を通して、私の関心は大きく二つある。 (1)ヤマギシズム社会の『金の要らない楽しい村』、実際の「村」のなかでは、お金のやり取りが介在しない暮らしと、「村」離脱後の何事もお金=賃労働を考えざるを得ない暮らしとの違い。(2)ヤマギシの「村」…

◎福井著『「金要らぬ村」を出る…』の感想文。

〇新刊福井著『「金要らぬ村」を出る…』の書評をブログに掲載した後、著者からある人の新刊感想文の連絡を受けた。 それは心にしみるような感想と文学的な観点のある文章で、私の書評にはないものだった。 私の書評は、素直な感想というより本書の背景となる…

◎福井著『「金要らぬ村」を出る…』の書評①

〇新刊の書評に入る前に、私が思っている、福井氏の来し方に触れてみる。 人はある時、心が躍る出来事に出会う。その「虹」のようなものに劇的な感慨を覚えて、その人の生き方につきまとうことがある。 あるいは、ある出来事と遭遇することで、その後の生き…

◎福井正之著『追わずとも牛は往く』ー労働義務のない村でー 再考

※この度の新刊、福井正之著『「金要らぬ村」を出る…』は、2018年刊行の『追わずとも牛は往く』と繋がりがあると思っていて、その書について触れてみる。 〇タイトル『追わずとも牛は往く』の副題として「労働義務のない村で」とある。 本書の特質として…

◎福井正之著『「金要らぬ村」を出る…』について思うこと。

〇「金の要らない楽しい村」と「ベーシックインカム(BI)」 先日、国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」が届いた。 現在無収入の私たちにとって、コロナによる収入的な影響はないが、特殊な共同体にいたので国民年金も妻と併せて年110万程であり、…

◎福井正之著『「金要らぬ村」を出る…』刊行のお知らせ。

〇8月下旬(24日予定)に、福井正之さんの新刊『〝金要らぬ村〟を出る…』が出版されます。 70代半ば過ぎの2018年に、初めての刊行作品『追わずとも牛は往く』の自費出版をしました。 その後、身体的な「衰え」を感じつつ、次なる営みとして、さらに作…

◎特講について思うこと(吉田光男)

※吉田光男さんは「特講」の係を何度もしていて、「わくらばの記」で、おかしなこともしていたなと真摯に振り返っている。そこに受講者のみならず世話係、推進係がおちいりやすい盲点がいくつかあり、それを見ていく。〇吉田光男『わくらばの記』(5)から …

◎特別講習研鑽会(特講)変遷史。(吉田光男作成)

※「ヤマギシ会」の入り口である特別講習研鑽会(特講)についていくつかの角度から見ていこうと考えている。 「特講」については様々な方が触れているが、その変遷史を考察したものは、ないだろうと思っている。(※あれば連絡してほしいです) 「ヤマギシ会」…

(51)問い直す⑩「特講」がこれまでとちがって観える(福井正之)

○旧友からのFBへの投稿に「自分が何者であるのか?どのように生き死を迎えるのか…?という問いに揺らいでいる」とあった。私は久しぶりに自分の<同類>に出会ったようで心強かった。同時にこの問いかけへの私の思索は、まだ中途であることを思い出した。 …

◎自分を見つめ直す

〇吉田光男さんは『わくらばの記』のなかで、随時「自分とはなんだろう」と自問している。」 福井正之さんの〈『わくらばの記』に触れて〉の一連の「問い直す」の論考も「自分とは何者なのか」がメインテーマになっている。 それに関連する『わくらばの記』…

◎「心あらば愛児に楽園を」

〇「心あらば愛児に楽園を」は『ヤマギシズム社会の実態』(通称「実践の書」・青本)にある言葉で、その書は山岸巳代蔵の代表的な著作で、参画者にとって、ヤマギシ会に深く関わって人にとって、もっとも馴染みのある本だと思う。 本書は、養鶏をはじめ実際家…

◎守下尚暉『根無し草』のコメントから②

〇守下尚暉『根無し草:ヤマギシズム物語1学園編』を紹介したとき、元学園生から養鶏書にある記事の写真とコメントをいただきました。〈 生魚屑養鶏を排する理由 生魚屑につきましても、農業養鶏では、無代で庭までそれを運んで貰っても「使うな」と強調して…

◎守下尚暉『根無し草』などについてのコメントから

〇守下著『根無し草:ヤマギシズム物語1学園編』のことをFacebookに取り上げたとき、同じころに育った元学園生からいくつか疑問も含めてコメントをいただきました。 さらに、参考になるかとも思い、学園に触れた故吉田光男さんの論考「元学園生の手記を読んで…

〇守下尚暉『根無し草:ヤマギシズム物語1学園編』を読んで④

〇ヤマギシ会は、戦後生まれた共同体として、全人幸福社会の実顕を目指し、無所有・共用・共活を標榜する「実顕地」を各地に展開し、一個人や一家族を越えた一体生活(「財布ひとつ」の生活)体として、農業・畜産・林業を中心とした生産活動を行って、発足…