広場・ヤマギシズム

ヤマギシズム運動、山岸巳代蔵、実顕地、ヤマギシ会などに関連した広場

◎ヤマギシの<失敗学的>考察1

○「はじめに」
2022年12月に亡くなられた福井正之さんの遺稿集の位置づけとして翌年『福井正之記録集1』を自費出版した。
その「あとがき」に次のように書いた。

《私はヤマギシの実顕地について次のことを思う。
数多くの失敗というかお粗末なこともあったが、ある意味では、一つの特色のあるコミューンであり、今でも少なからず影響があり、社会状況からも、実顕地・ヤマギシ会は、共同体として様々な角度から考察していくに値するものがあるとも考えている。

福井さんは実顕地について次のように述べている。
〈私見によればヤマギシは、家族を超えた人間共同の生活体を現実に形成し、産業・生活・教育・福祉等にそのかなりの可能性と限界を示唆したと見える。またそのような可能性を孕んだ質でなければ、私など数千人が希望と理想に燃えることができなかったはずである。その全貌・実態のいわば<失敗学的>解明・考察によっては、社会や歴史への貢献、すなわち功の部分をも数多く明示しうるのではないかと秘かにねがってさえいる。〉
(「試論―実顕地とは何だったのか、1」2008/11福井)

私もヤマギシの実顕地の可能性や<失敗学的>解明・考察は大事だと思っている。
「失敗学」とは失敗の原因を究明し、同じ愚を繰り返さないようにするためにはどうすればよいか、という方策を追求・探求する学問であり、さらに、こうして得られた知恵を社会に広めることで似たような失敗を起こさないための方策も探求する学問である。
鶴見俊輔氏のように数々の疑問点をあげながら、ヤマギシズムの可能性と失敗を問い続けた人もいるが、長年実顕地に所属した人の考察は私から見たらあまりいないようだ。》

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わたしなりの「ヤマギシの<失敗学的>考察」をしてみようと考えた。と言ってもわたしの力量には限界があり、それにつながることが多少でも提示出来たらばと願っている。

これまでも、ブログ「広場・ヤマギシズム」で、様々角度から述べてきて、重複するものもあるが、この項では<失敗学的>考察に絞って述べてみようと思っている。

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