広場・ヤマギシズム

ヤマギシズム運動、山岸巳代蔵、実顕地、ヤマギシ会などに関連した広場

◎吉田光男『わくらばの記』(18)

わくらばの記 たまゆら②(17・2) 〈2月×日〉 最近は、食事を摂るのがひと苦労になった。少量の食事にすぎないが、全部食べ終わるまでに時間がかかり、まるで作業をしている感じになる。しかしまた、これが生きるための大事な手段ともあれば、おろそかに…

◎吉田光男『わくらばの記』(17)

わくらばの記 たまゆら①(17・1) 2017年の正月を迎え、手記のタイトルをどうしようかと考えているうちに、夢うつつに〈たまゆら〉という言葉が浮かび上がってきた。目覚めてから、言葉の正確な意味を辞書で調べると、「玉が触れ合ってかすかに音を立…

◎書評『追わずとも牛は往く』

〇本書は、著者の40年ほど前の1976年から2年程の「北海道試験場」(「北試」―ヤマギシ会)の体験をふまえ、書き進められた記録文学である。 実際の「北試」というより、その可能性をひろげた著者自身の想定した「睦みの里」であり、著者から見たヤマギシズム…

◎吉田光男『わくらばの記』(16)

わくらばの記 ごまめの戯言⑧ 〈12月×日〉 「世界一貧乏な大統領」として有名なウルグァイの前大統領ホセ・ムヒカ氏は、来日した際、自ら希望して学生を対象とする講演を行った。その講演で、氏はこう語った。 「みなさんは物を買うとき、それをお金で買っ…

◎吉田光男『わくらばの記』(15)

わくらばの記 ごまめの戯言⑦ 〈11月×日〉 11月度の村人テーマは、「『研鑽会にしていく』とは?」である。テーマ解説には、さまざまな事例が紹介されており、例えばメニュー板の表示の仕方や風呂の蓋を開けておくのか閉めておくのかといったことが、話題…

◎吉田光男『わくらばの記』(14)

わくらばの記 ごまめの戯言⑥ 〈10月×日〉 昨日、豊里のSさん夫妻が来た。ゆっくり話すのは久しぶりのことで、いろいろ意見を交換できて面白かった。特に、養豚では最近、最新式の豚舎が建てられるようになったが、かえって手間のかかることが多くなったらし…

◎吉田光男『わくらばの記』(13)

わくらばの記 ごまめの戯言⑤ 〈9月×日〉 喜一さんは、自分の葬儀について、なぜ親族に限る、つまり村人の参列を拒否するような遺言を残したのだろうか。偲ぶ会などで、自分の棺を前にしてあれこれ語ってほしくないという心境だったのかもしれないが、それが…

◎吉田光男『わくらばの記』(12)

わくらばの記 ごまめの戯言④ 〈8月×日〉 特講の歴史を自分なりの見方でまとめてみたが、夜中に目が覚めたりすると、それに関連したさまざまな出来事が思い出されてくる。そんなことをポツリポツリと書いてみることにする。 あれは私がまだ韓国にいてビザの…

◎吉田光男『わくらばの記』(11)

わくらばの記 ごまめの戯言③ 〈8月×日〉 「水俣病――魂の声を聞く」(NHK)の再放送をもう一度見た。大阪在住のSさんは、亡くなった劇症患者の姉の首に何回か手をかけたと話す。また、いま水俣に住むTさんは、重度障害の妹が自分の生きがいだと言いなが…

◎吉田光男『わくらばの記』(10)

わくらばの記 ごまめの戯言② 〈7月×日〉 白川静さんの『孔子伝』読了。2回目だが、やはりすごい作品だ。私は『論語』というものが、あまり好きではない。その道学的雰囲気が好きになれないのだ。しかし、白川さんによって孔子の姿が生き生きと蘇り、社会に…

◎吉田光男『わくらばの記』(9)

わくらばの記 ごまめの戯言① 〈5月×日〉 ※105日間にわたる入院中の日録「病床妄語」の整理が終わり、その後、折に触れて日々に起こってくる随想を書き続けている。 この随想の題名は「ごまめの戯言(たわごと)」としましたが、これらはもう日録ではなく…

◎吉田光男『わくらばの記』(8)

わくらばの記 病症妄語⑦ 〈4月15日〉 体調、特に変化なし。 医師からは胃瘻の手術を勧められているが、どうも気が進まない。その手術をしても、寿命があと二年以内ということであれば、寿命の多少の長短よりは少しでも充実した人生を送ることを優先して考…

◎吉田光男『わくらばの記』(7)

わくらばの記 病症妄語⑥ 〈4月1日〉 窓の外に遠方の桜が花開いてきた。まだ6~7分咲きで、満開までにはもう4,5日かかりそうだ。 夜中、咳はまだ少し出るが、体調はいい。 『カラマーゾフの兄弟』ようやく読み終える。もう3回も読んでいるが、その都…

◎福井正之『追わずとも牛は往く』刊行のお知らせ

〇夢太き人と大地と春の空 福井正之氏の『追わずとも牛は往く』が出版された。 この小説のエピローグの最後は、次のようになる。 〈「このことは人生についても言えるだろう。死期に近づけば近づくほど人生を右肩上がりに描きたくなる。丈雄ももはや七十半ば…

◎吉田光男『わくらばの記』(6)

わくらばの記 病床妄語⑤ 〈3月16日〉 体調はまずまず、特に問題は感じない。 一昨日、クローズアップ現代でISの女性奴隷市場のことを取り上げていた。実におぞましい現実だ。 エマニエル・トッド氏は、ISはイスラム教という宗教から生まれたのではなく、…