広場・ヤマギシズム

ヤマギシズム運動、山岸巳代蔵、実顕地、ヤマギシ会などに関連した広場

◎「広場・ヤマギシズム」について思うこと(二つのお便りから)

※このブログを公開して、様々な反応がありました。そのことを含め、いくつか留意点をあげてみます。

・以前に発表したものは、その時点で考えたことでもあり、その後見方が少し変わったところ、より考えた個所もありますが、大まかな趣意は変わらないので、そのまま載せました。また、知人のHP「ビジョンと断面」や「自己哲学第2章 反転する理想」など、現在閉じられているものも、文意をそぐわない限りそのままにしました。

 ・山岸の考えからヤマギシズム運動が始まり、理想を掲げた山岸会活動、山岸会の入り口となる特別講習研鑽会(特講)が生まれ、その間さまざまな試行錯誤があり、構想は山岸晩年のものですが、歿後、中央調正機関、実顕地活動が展開することになり、さらに、ヤマギシズム学園が生まれます。

 次第に最初の構想が変容していくことになり、特に組織が拡大するにつれて、山岸巳代蔵の思い描いたことと、だいぶ違ってきたように思います。

 ・参画者に限らず会活動に熱心に携わった人は、何らか惹かれるものがあり、それに自分の一生を賭けた人も少なからずいるかと思います。また、疑問を感じて離れた人もかなりいます。

 ・この広場の趣意は、特異な共同体として数々の興味深い試行錯誤もあり、その影響の大きさを鑑みて、理想集団がどのように変容していったのか、様々な視点から考察することで、今後に生かしていければいいかなと考えました。

 

〇二つの便りを紹介します

▽「Fさんからのお便りから」

「そういう意味で「広場というのは、難しいし、逆にやりがいがある。私もいろいろ確認、参照部分でこれまでも助かってきた要素もあります。------

 今回の私のブログの反応で気づいたのは、みなやはりヤマギシのことを肯定、否定に関わらず想ってるんですね。そしてその<過去>を自分の中で、さらに自分の人生の中で、どう位置付けるのかを課題にしていると思います。------そういう機運をひしひしと感じています。

 自分の一生そこに賭けたわけですから、誰にとっても今さら帳消しのできないことです。これからの出発になにがしか期する人は、たとえ老い先短くとも、必ず昔の賭けた自分を思い返すはずです。」 

 

▽「Kさんからのお便りから」

 Kさんの問題意識は大きくは「集団と個人」というテーマだと思いました。

 それに関しては、私もそうだと思っています。

 個人の自立、個的自由が尊重された一人ひとりの相互依存、共生で成り立つ集団、社会というテーマでヤマギシズム運動や実顕地を相対的に見ていくというテーマだと思います。

 

・次のような見解もあり、それについて返信をしました。

 内容は、「特講のとき配られる『ヤマギシズム社会の実態』には、優生思想がありますよね。」という見方です。

 他にもこのような見解は一度ならず目にしているので、それについて思っていることを書いてみました。

 

「返信内容」

▼山岸巳代蔵の思想について

【ヤマギシズム社会の実態』知的革命 私案(一)15の「人種改良と体質改造」から続くいくつかの文章には優生思想的なものがあると思うし、私もそのような見解は、否定したいと思っています。

 

 次のことも押さえておきたいと思います。

・山岸巳代蔵52歳の1953年に山岸会が発足し、それに関心を持つ人が増えてきつつある翌年「『ヤマギシズム社会の実態』」が発表されました。これは、山岸巳代蔵が今の段階でこのように考えているというのをわずか10日余りで書き上げたといわれています。この私案は(本稿未完)になっています。

・山岸は、文明の発展、科学技術の進歩、人間の知能への重要視などについて安易ともいえる楽観視をしていたが、1954年という時代には、そういう風潮が少なからずあったと思います

・山岸は1961年59歳の時に亡くなりました。この8年間に、一貫変わらない考え方と、年とともに大きく変化していく見解もかなりあります。私は「優柔不断」を言い続けた晩年の巳代蔵にとても関心があります。

・どのような人でも、時代の影響を受けながら思想形成をしていきます。1954年に書かれたもの読み込むためには、2017年からではなく想像的にも1954年に自分の身を置いて考えていくことが大事ではないでしょうか。

・その頃、北朝鮮を理想の楽園と言っていた人が学者にもかなりいましたが、そのことだけで一人ひとりの評価はできないと思っています。

 

・どんな人でも間違いや過ちはあり、人間のできることは、間違いや過ちを謙虚に認め、そこから冷静に分析し学び、少しずつ方向を改めてゆきながら、むしろ間違いや過ちから学ぶことで、生き方がより豊かに、深くなっていくのではないでしょうか。

・もちろん間違いや過ったこと、その影響は消えるものではありませんが、だからこそそこから学び、同じことを繰り返さないように今後に生かしていくことが大事だと思っています。

 

※移行段階から漏れていたので、次の2篇を追加しました。

・2015年5月8日の、◎いのちをめぐる対話と「けんさん」

・2015年3月16日の、◎集団のもつ危うさについて(鶴見俊輔のヤマギシズム関連の論考から)