〇Kさんから次の「お便り」がありました。
・Kさんの問題意識は大きくは「集団と個人」というテーマだと思いました。
それに関しては、私もそうだと思っています。
個人の自立、個的自由が尊重された一人ひとりの相互依存、共生で成り立つ集団、社会というテーマでヤマギシズム運動や実顕地を相対的に見ていくというテーマだと思います。
・また、次のような見解もありました。
内容は、「特講のとき配られる『ヤマギシズム社会の実態』には、優生思想がありますよね。」という見方です。
他にもこのような見解は一度ならず目にしているので、それについて思っていることを書いてみます。
▼山岸巳代蔵の思想について
【ヤマギシズム社会の実態』知的革命 私案(一)15の「人種改良と体質改造」から続くいくつかの文章には優生思想的なものがあると思うし、私もそのような見解は、否定したいと思っています。
次のことも押さえておきたいと思います。
・山岸巳代蔵52歳の1953年に山岸会が発足し、それに関心を持つ人が増えてきつつある翌年「『ヤマギシズム社会の実態』」が発表されました。これは、山岸巳代蔵が今の段階でこのように考えているというのをわずか10日余りで書き上げたといわれています。この私案は(本稿未完)になっています。
・山岸は、文明の発展、科学技術の進歩、人間の知能への重要視などについて安易ともいえる楽観視をしていたが、1954年という時代には、そういう風潮が少なからずあったと思います
・山岸は1961年59歳の時に亡くなりました。この8年間に、一貫変わらない考え方と、年とともに大きく変化していく見解もかなりあります。私は「優柔不断」を言い続けた晩年の巳代蔵にとても関心があります。
・どのような人でも、時代の影響を受けながら思想形成をしていきます。1954年に書かれたもの読み込むためには、2017年からではなく想像的にも1954年に自分の身を置いて考えていくことが大事ではないでしょうか。
・その頃、北朝鮮を理想の楽園と言っていた人が学者にもかなりいましたが、そのことだけで一人ひとりの評価はできないと思っています。
▼自分を振り返ることについて
・どんな人でも間違いや過ちはあり、人間のできることは、間違いや過ちを謙虚に認め、そこから冷静に分析し学び、少しずつ方向を改めてゆきながら、むしろ間違いや過ちから学ぶことで、生き方がより豊かに、深くなっていくのではないでしょうか。
・もちろん間違いや過ったこと、その影響は消えるものではありませんが、だからこそそこから学び、同じことを繰り返さないように今後に生かしていくことが大事だと思っています。
・そのためには、自分自身と向き合いながら間違いを間違いと認める勇気が不可欠だと思います。しかしこれがおいそれとできないで、悶々としていることが多いのでないでしょうか。
・山岸巳代蔵の晩年までの人生を見てみると、これについては、結構向き合っていたのではないかと私は思っています。